仕事柄、主人は出張が多い。月に何回かは、地方へ出かける。生まれも育ちも東京の主人は、日頃から「故郷のある人は羨ましい」と言っているので、どんなにハードなスケジュールでも嬉々として出張に行く。ほんの短い滞在でも、東京以外の土地の空気を吸うことが新鮮なのだろう。そして、両手に紙袋いっぱいのお土産を持って帰ってくる。あわただしい日程の中、その土地の人に聞いて、「名産」と言われるものをすべて買ってくるのだ。お土産と言っでも、民芸品のようなものは入っていない。食いしん坊の主人らしく、どれも食べものである。「村上カラシレンコン店」の“からし蓮根”は主人が熊本に出張した時のお土産である。私はそれまで“からし蓮根”の存在は知っていたが、食べたことがなかった。つい最近まで食べたことがなかったということは、食べたいとも思わなかったということなのだろう。ところが、「村上カラシレンコン店」の“からし蓮根”を食べて驚いた。本当に美味しいのである。蓮根の中にからし味噌を詰め、上から衣をまぶして油で揚げるというシンプルなものなのに、味わい深いのだ。蓮根はシャリシャリと歯ざわりがよく、油で揚げてあるのに、あっさりとしている。からし味噌は、―瞬鼻にツンとくるが、その後に口に広がる辛さがやみつきになる。私はお醤油やマヨネーズをつけたり、海苔で巻いたり、フライパンで軽く焦げ目をつけてみたりした。今まで“からし蓮根”を食べていなかった分、どんどん“からし蓮根”にハマっていく私がいた。最後にはインターネットで見つけたからし蓮根の作り方”のレシピ通り、自分で作ってもみた。私が“からし蓮根”にハマっているのを見た友達が、いろいろな所の“からし蓮根”を送ってくれたのだが、やっぱり「村上カラシレンコン店」のものがベストだった。もしかすると、それは相性の問題かもしれない。生まれて初めて食べた“からし蓮根”の感動が今も続いているのだ。「村上カラシレンコン店」の美味しい“からし蓮根”を最初に食べてよかった。これが、私が苦手な味だったら、二度と“からし蓮根”を口にすることはなかったと思う。まだ食べていない“美味しいもの”は、世の中にあとどれくらいあるのだろう来年のお中元にからし蓮根を贈ってみよう。